岸さん(十文字星見台オーナー)


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下郷町で天文台を開設

南会津4町村(下郷町、南会津町、只見町、檜枝岐村)に移住した方々に、移住のきっかけや現在の生活の様子などをインタビューし、動画で公開しています。また、動画ではお伝えしきれなかったお話しをこのブログでご紹介しています。

《 移住者データ 》

岸さんは、会社を定年退職したことを機に、平成30年(2018年)1月に川崎市から下郷町に移住しました。

中学生の時から天体に興味を持ち、女性も安全に星を観られる場所を作りたいと、水と電気とトイレとを備えた星を見ることのできるスポットを下郷町十文字地区に作りました。

岸さんの「十文字星見台」には、4台の望遠鏡、カフェ9席があり、コーヒーと簡単な食事ができ、そしてフォークロックやフラメンコなどを上演できる野外ライブステージも備えています。

 

田舎暮らし
■お 名 前 岸 正一(きし まさかず)さん
■ど こ に 下郷町 十文字地区
■どこから 神奈川県川崎市
■い  つ 2018年
■現在のお仕事 十文字星見台オーナー
■以前のお仕事 大手通信機メーカー
田舎暮らし

 

 

《 移住される前はどのような生活を? 》

通信機メーカーに勤めている技術者でした。どちらかというとインドア派でしたね。

 

《 移住のきっかけは? 》

元々は、車関係のインターネット上の集まりがあって、その関係で南会津町の南郷地区に頻繁に通っていました。ですから、星の関係じゃなく、車の仲間とこちらへ来たのが一番最初です。で、後から、結構空暗いよね。ということで、望遠鏡こそ持って来ないですけど、こちらで星を観るようになったわけです。

下郷町を選んだのは、たまたまですね。星を観るために、ちっちゃな掘っ建て小屋とドーム、望遠鏡ですね。どこかに別荘的なものを建てたいと思っていました。
星最優先で考えると、日本全国いろいろなところがありますよね。長野とか北海道とか沖縄とか。星最優先で場所を選ぶとなると、ここではなかったですね。たまたま南会津を訪れる機会があって、紹介された土地が、下郷だったと。それと、ここでの人とのつながりですか、こんなことをやりたい、あんなことをやりたいという感じで話をしているうちに、こんな施設になっちゃったんです。

 

田舎暮らし
岸さんが建てた「十文字星見台」の全景
  

《 どのように移住を? 》

元々は、下郷町ではなく南会津町舘岩地区の方で探していたんです。そこはすごい豪雪地帯で、いわゆる季節移住するつもりで、雪の降っている時期は川崎に戻り、雪が消えたら星を見に来ると考えていたのです。

でも、とんでもなく雪深いのと山奥の方だったので空が狭いんですね。空は暗くてとてもいいんですが狭いので諦めて、探す地域を広げていったところ、たどり着いたのが、隣の下郷町だったわけです。ここでは、土地を売ってくれる人がいて、購入を決めました。

《 天体観測の立派な施設を活かした計画は? 》

天文の普及といったイメージなんですが、地元の人って、ここで見る星がうらやましいほどきれいだということを認識していないというか自覚していないんです。まず、それを知ってもらいたいんです。素晴らしい夜空を持っているんだということをまず地元の人に知ってもらいたい。そのために観望会を定期的に行いたい。身近に星を見てもらいたいがためにバリアフリーとか設備を拡充したいと思っています。

あと、星が見られることプラスここでカフェをやって、地元の人たちがくつろげる場所にできたらと思っています。ステージも星と組み合わせた、ここでしか見せられないライブステージを提供したいなぁと思っています。

田舎暮らし
9席あるカフェ

《 星空と組み合わせたイベントは? 》

自分の持っているつながりで、たまたまフラメンコの人たちを知っていました。また、アコースティックギター系のアーティストと結構知り合いが多くて、その人たちのライブもやってみたいなと思っています。あと、地元のライブというか、行き着くところカラオケ大会でもいいかなと思っていますが、星空を楽しみながらライブを楽しめる形で場所を提供していきたいと考えています。

《 下郷町の印象は? 》

下郷というと、イコール大内宿というイメージしか最初なかったんです。大内宿以外に何があるんだと思っていたのが、ここ十文字地区に来て、やっぱり自然がすごいなということ。星空も当然ながら自然のすごさが一番の印象ですね。

ほぼ何もない。だが、全く何もないわけじゃないのもいいんですよ。
ほんとに星を見ようとすると、前人未踏の奥地へ行くような感じの場所なら当然いい夜空になるんでしょうけど、そこまで行くとどうやって生活していくんだ。ということになっちゃう。人工的なところと大自然の間ではなく、かなり大自然寄りのところだと思います。僕にとっては、ちょうどいい具合にインフラが整っている場所ですね。

《 地域の人との関わりは? 》

一番感じたのは、十文字地区が昔ながらの農地ではなく開拓地であるということ。だから土地についても、何が何でも売らないという田舎が多い中、売ってくれるというのと、開拓地なので住んでいる方も開拓者魂というか、この土地をなんとかしなければいけないと思っている人が多いんです。

たまたま土地を譲ってくれた人が、その思いが強くて、土地を紹介してくれる段階でいろいろなこと、先ほど話したように、元々はドームと寝泊まりできる小屋といった、小さなこぢんまりした別荘でよかったんですけども、その人と話をしているうちに元々自分がやりたかったカフェだとかライブでみんなを喜ばせたいとか話をすると、いいね、いいね、という話になって、ここのバルコニーもかなり安く作ってもらったんですけど、地元を活性化させたいという思いが一緒になってできたようなものなので、うん、僕なりにはうまくいっているなという感じですね。

《 移住して大変だったこと? 》

やっぱり雪ですね。最初予定していた奥会津に比べれば、全然雪は少ないですけれども、それでもそこそこ積もります。日々車で出入りしているとそれなりに動けるんですけど、ドカッと降られると、除雪してもらわないとどうにもならない。昨シーズンは3回ほどあったかな。雪は苦労しますね。

田舎暮らし

《 冬を経験してどんな感想を? 》

当初予定していた奥会津に比べれば全然雪少ないなという印象ですね。このくらいの雪だったらなんとかつきあっていけるかなという感じですね。ただ、除雪機は欲しくなりますね。

《 下郷町へ来て良かったこと? 》

当初の目的だった星と自然の中でのんびりと暮らせることと、地元の人が地域の活性化を思っている人が多くて、一緒に活動ができること。これが一番だと思っています。

昔から異文化交流会というか、いろんなグループに属している人たちをくっつけるのが好きなんです。一番最初にやったのが車関係の連中と星の連中を一緒にくっつけてバーベキュー大会をやりました。結構いろんなものが生まれてくるんです。自分自身はあんまり能力はないんですが、くっつけるのが楽しくてしょうがない。ここもそんな感じでいろいろな人の交流の場にできればなと思っています。

《 これからやってみたいことは? 》

やはり、ここの星空が素晴らしいことを全国にアピールしたいですね。あと、先ほども言いましたけど、ここでしかできないライブというものを全国に発信していきたいですね。フラメンコのライブも東京だと何か所もやる場所があるけど、その同じライブをここに持ってきただけでは、ここでしか見られないライブじゃないですよね。ここの人たちが見ることのできるライブであることは確かなんでしょうが、演者さんの交通費や宿泊費などを考えると割高になってしまうので、あまり意味がない。だから、ここでしか見られないライブ、先ほどの星と絡めたライブをやっていきたいと思っています。

田舎暮らし

《 南会津で好きな場所やスポットは? 》

前からずっと通っていた南郷(南会津町南郷地区)へ行く途中に「駒止湿原」があって、お手軽に車で結構なところまでいける湿原で、毎季節来ていました。水芭蕉とかワタスゲとか。ただ、今は水害で通行止めになっているんですが、すごく好きな場所です。あと、大内宿は何回も飽きるほど行っています。
食べ物は、やっぱりここは、蕎麦ですね。近所に蕎麦打ち名人がいるんですが、その人の打つ蕎麦は、最高においしいですね。

《 これから移住してくる方へのアドバイスをお願いします 》

移住する方の理由って、千差万別でいろいろあるので、これが平均的な移住というコメントはできないです。特に僕の場合は特殊なタイプの移住だと思っているので、僕と同じく星を見たいと思っている人にならいろんな事を言えますが、一般的な移住をしたいという方にアドバイスと言っても言いにくいんです。

ただ一つ言えるのは、ある目的、例えば農業やりたいとか、林業とか、起業したいとか、僕みたく星が好きでとか、自然の中で何かやりたいとか、とにかく目的を持って来ると思います。うまくやっていくコツというのは、地元の人たちとどう関わるかだと思います。自分のやりたい目的だけでそこに行くと、たぶんトラブルになると思います。地元の前から住んでいる人たちとどう折り合っていくか。というのがたぶん移住を成功させる、というか僕もまだ2年たっていないんで、成功してるかどうかはこれからですが、ただ目的・条件だけでいくのではなくて、人とのつながりが一番だと。そこだけは怠らないようにした方がよいと思います。

岸さんさん写真
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