前沢曲家集落(まえざわまがりやしゅうらく)
日本の農山村の原風景ともいえる景観を今なお残す集落です。明治40年(1907年)に、集落のほぼ全戸が消失するという大火に遭い、その後、周辺地域の同一の大工集団によって一時期に各戸を建築したことによって、統一的な景観が生まれました。平成23年(2011年)6月、この統一的景観保護のため、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。
《 前沢曲屋集落の歴史 》
前沢曲家集落のはじまりは、文禄年間(1592年~1595年)に、只見川流域を拝領した横田城主・山内氏勝の家臣である小勝入道沢西という人が、主人・氏勝が滅んだのちに当地に移り住んだとされ、「中世に会津武士が拓いた集落」として地元の人々に言い伝えられています。
集落は、はじめは舘岩川近くにあったといわれ、集落の前に沢(川)が流れていたことから「前沢」と呼ばれるようになりました。その後、現在の位置に移動したようです。
明治40年(1907年)に、この前沢集落がほぼ全戸消失するという大火に遭い、その後、周辺地域の同一の大工集団によって一時期に各戸を建築したことによって、統一的な景観が生まれました。
そして平成23年(2011年)6月、この統一的景観保護のため、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に指定されました。
《 曲家とは 》
中門造(ちゅうもんづくり)と呼ばれる曲家(まがりや)とは、文字通りL字に曲がった住まいのことです。手前の突出部には、生活(農耕や運搬)に欠かせない大切な牛や馬を、そして奥の建物は人の生活空間として、牛・馬と人とが同じ家の中に暮らしていました。
農業の機械化とともに牛・馬は人々の生活から離れていきましたが、集落内には曲家13棟を含む伝統的家屋が19棟あり、現在もその伝統を維持しながら生活しています。
また、L字型の曲家ではない作りを直家(じかや)と呼びます。
《 集落の景観 》
時間がゆったりと流れているように感じる集落。水の音、風の音、木々の音が古民家の間をすり抜けていきます。
なぜか懐かしさを覚える日本の農山村の原風景。昔ながらの里山の景観を大切に守っています。
《 前沢曲家資料館 》
資料館は実際の曲家を利用した施設で中に入ることができます。平成4年(1992年)に隣の南会津町伊南地区(旧伊南村)から移築されたものです。
民具などを展示しているほか、囲炉裏を囲んだ内部の空間、大黒柱や梁の大きさなど、豪雪地であるこの地域で百年来の風雪に耐え、時代の流れに対応してきた暮らしの知恵を探ることができます。
夏期はガイドの方が常駐して住まいの説明当時の暮らしの様子などを語ってくれます。
※開館は4月~11月まで。無料。冬期間は閉鎖。
《 前沢薬師 》
例年5月に、集落内の薬師堂前広場で「前沢薬師様まつり」が開催されます。甘酒のふるまいや集落の農産物加工品、民芸品、特産のばんでいもちを販売します。
《 前沢ふるさと公園 》
国道352号線と前沢集落のあいだを流れる館岩川沿いには花しょうぶ園が広がっており、この辺り一帯が前沢ふるさと公園です。
園内には「水車小屋」」と「バッタリ小屋」があります。集落から流れてくる水を引いて動かす水車、そしてさらにその水で動く「バッタリ」の音が集落へ響きます。
「バッタリ」とは、ししおどしのように水を貯め、いっぱいになったときの反動で杵をうごかし、粟やひえなどをつく器具。昭和三十年代頃までの農村でよく見られた風景と音は郷愁を呼び起こし、「うつくしまの音三十選」にも指定されています。
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《 散策マップ 》
集落入口にある案内所で入園料を支払い、パンフレットをもらって散策開始。舘岩川にかかる橋を渡れば前沢曲家集落です。
イラストは前沢曲家集落の散策マップ(パンフレット)です。画像をクリックすると拡大します(PDF 1.13MB)。
《 そば処曲家 》
前沢曲家集落のある南会津町舘岩地区は、そばの名産地として知られる南会津全域の中でもとりわけそばの栽培に適した気候とされます。舘岩産のそば粉を使った手打ちそばが味わえるのがここ、そば処曲家です。
■営業期間 | : | 4月下旬~11月上旬 ※営業期間中は無休 ※冬期間は休業 |
■営業時間 | : | 10:30~16:00 |
■メニュー | : | ・天ざるセット 1,652円 ・ばんでいセット 1,198円 ・曲家そば 1,490円 ほか |
《 古民家カフェ いろり 》
集落の東側に直屋(じかや)が移築され、交流施設「古民家カフェ いろり」として運営されています。コーヒーや軽食などをお出ししています。
直売品や素朴な工芸品などを販売するコーナーもあり、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
※営業:土曜、日曜、月曜、祝日のみ(冬期間は休業)
《 前沢曲家集落の四季 》
集落を見渡せる展望スポットからは、集落の四季折々の美しさを見ることができます。※写真は前沢曲家集落さんのHPより。
集落を一望する展望スポットは、駐車場から国道352号を渡り、案内看板に従って階段を10分ほど登ったところにあります。
傾斜がきつい部分もあり、かなり息があがりますが、その分眺めは抜群です。体力・脚力に余裕のあるみなさんはぜひチャレンジしてください。
《 入園料 》
※前沢曲家集落は集落のみなさんが実際に普段から生活している場所です。敷地内・住まいの中に入ることはできません。マナーを守って静かに散策・見学をお願いします。
■散 策 | : | 4月下旬~11月上旬 ※冬期間は閉鎖 |
■入 園 料 | : | 大人300円、高校生以下150円 |
■ト イ レ | : | ・集落入り口公衆トイレ ・前沢曲家資料館 ・古民家カフェいろり |
■飲 食 店 | : | 集落入り口のそば処曲家のみ |
《 アクセス 》
■列車利用
・会津鉄道「会津田島」駅より檜枝岐行きバスで約85分、「前沢向」停留所下車、徒歩1分。
・または、会津鉄道「会津高原尾瀬口駅」より同バスで約40分、「前沢向」停留所下車、徒歩1分。
■自家用車利用
・東北自動車道 西那須野塩原I.C.から、国道400号、国道121号線、国道352号線経由で約66km。
・磐越自動車道 会津若松I.C.から、国道49号、国道118号、国道121号、国道352号線経由で約96km。
《 ドラマ「リーガルハイ2」 》
みなさんは2013年に放送されたドラマ「リーガルハイ2」を覚えていらっしゃいますでしょうか。堺雅人さん、新垣結衣さん、岡田将生さん、さらにこの回は広末涼子さんも出演された弁護士ドラマです。
この第8話「世界天然財産おざおざの森と奥蟹頭集落」のロケが行われたのが、何を隠そう前沢曲家集落です。
◆レトロなボンネットバスで到着したのは前沢曲家資料館の前
◆蟹頭わらびを食べながら騒動の経緯を聞くのは前沢曲家資料館の座敷
◆堺さんと新垣さんが川に落ちたのは、集落に渡る橋の下
◆昭和感たっぷりの電飾「六本木ナイト」は古民家カフェいろり
◆ファッション901は集落入り口、橋を渡ってすぐの家
前沢曲家集落にお見えになる際は、事前にドラマ「リーガルハイ2」をチェックしておけば、違う角度から前沢曲家集落を楽しめるかもしれませんよ。
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