

福島県只見町は、その雄大なブナの森とそこに生きる動物たち、そしてそれらの自然と調和し生活する人々の暮らしが現代の世界環境のなかでも特に貴重であるとして、2013年、ユネスコ「エコパーク」へ推薦されました。2014年6月の審議・正式決定を前に、まずは只見町の豊かな自然と、エコパークについての基礎知識を学びましょう。
※ここに記載しているのは、只見町が発表する「只見町が登録を目指すユネスコエコパーク」パンフレットおよび、おいでよ南会津の取材による2014年1月現在の情報です。正式・公式情報については文部科学省「日本ユネスコ国内委員会」のページ、只見町公式ホームページ、只見町ブナセンターなどをご確認ください。
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ユネスコエコパークは日本における通称で、正確には生物圏保存地域(Biosphere Reserves: BR)と呼ばれます。1976(昭和51)年にユネスコが開始したもので、人間と生物圏(MAB:Man and the Biosphere)計画 における一事業として実施されています。
「世界自然遺産」が、貴重で価値のある自然地域を保護・保全するのが目的であるのに対し、ユネスコエコパークは、「生態系の保全と持続可能な利活用の調和」を目的としており、保護・保全だけでなく"自然と人間社会の共生"に重点が置かれているのが大きな特徴です。人が生きていくのに欠かせない自然の恵みを受けながら、自然やそこに住む動物と上手に付き合っていくモデルとなるのがこのエコパークといえそうです。
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現在、ユネスコエコパークの登録件数は、117か国621件(2013年5月現在)となっており、日本の登録件数は5件です。(「志賀高原」、「白山」、「大台ヶ原・大峰山」、「屋久島」及び「綾」。写真は左が志賀高原 右が綾。それぞれパンフレットより) そして2013年、あらたに登録申請された南会津地域の「只見町」と、長野・山梨・静岡にまたがる「日本アルプス」について国内推薦が決定し、2014年6月頃に審議・決定されることになっています。
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只見地域は、福島県の西端で新潟県との県境に位置し、会津朝日岳、浅草岳など標高1,000m前後の山々に囲まれた山間地域です。冬季は日本海の湿った空気を大量にはらんだ季節風に直面し、多量の雪がもたらされ、平地でも積雪が3-4mに及ぶ日本有数の豪雪地帯です。
この地域はブナ林をはじめとする落葉広葉樹林が生育する山地帯ですが、地質的な要因と豪雪による雪崩によって山体は削り取られ、基岩は露呈し、急峻で複雑な「雪食地形」が卓越しています。さらには、こうして形成された様々な立地環境の上に、それぞれに適応した植物群が生育する「モザイク植生」が成立しています。尾根には馬のたてがみのように並ぶキタゴヨウの針葉樹林、雪崩の多い斜面にはミヤマナラなどの低木林や草付き、斜面下部の安定立地にはブナ林、谷沿いにはトチノキ、サワグルミの渓畔林が成立しています。こうした景観は標高1,000m以下の山地帯では極めて珍しいうえに、ほとんど人手の加えられていない原生的な状態で、40,000ha以上の広大な面積にわたって存在しています。 |
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そして、こうした変化に富んだ植生構造は、多様な動植物の生育を可能にします。事実、生態系ピラミッドの頂点に立ち、豊かな生物相の存在が生息条件となる猛禽類のクマタカ、イヌワシ、大型哺乳類のツキノワグマが高い密度で生育しています。すなわち、彼らの存在は、只見地域の自然環境の豊かさを象徴していると言えます。
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■基幹産業としての農林業 只見川・伊南川沿いの段丘や洪積平野には、農耕地が広がり、米をはじめ、ソバやトマトが栽培されています。また、山すそにはスギやカラマツの人工林が存在します。今後は、有機農業の推進や森林認証制度を活用した持続可能な林業の発展が期待されています。 |
■燃料としての薪材の利用
ストーブの燃料としての木材(薪)の利用が継続的に行われており、地域内の化石燃料の消費を抑え、低酸素社会のモデルとなる可能性を秘めています。今なお、春先の残雪を利用した薪材の伐採、搬出が行われています。 |
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■山菜・キノコ類の採集 只見地域の人々は、春の雪解けと共に顔を出すゼンマイ・ワラビなどの山野草を採集し、秋にはキノコを採り、重要な糧として利用しています。これらは地元住民の伝統的な入会慣行により、持続可能な形で行われています。 |
■植物を利用した工芸品(つる細工) 只見地域では、およそ半年におよぶ積雪期の家仕事として、伝統的にマタタビ、アケビ、ヒロロ(ミヤマカンスゲ)などの植物を利用したカゴなどの日用品がつくられてきました。現在も、講習会が開催され技術の伝承が行われています。 |
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■伝統芸能・年中行事
江戸時代初期に始まった、その年の豊作を祈願する伝統芸能「小林・梁取の早乙女踊りと太々神楽」が地元保存会により受け継がれています。また、小正月の頃に行われる塞の神(オンベ)の行事があちらこちらの集落で行われています。 |
(文:只見町パンフレットより抜粋) |
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只見町は、平成の大合併を選択せず、独自のまちづくりを歩むこととし、都市部には無い只見地域の豪雪が特徴づける豊かな自然環境、それらをよりどころとしてきた伝統的な生活・文化・産業を活かした町づくりを進めています。 こうした活動をより強力に具現化させるために、自然環境や天然資源を保護・保全しつつ、持続可能な形での利活用を通じ地 域社会経済の発展を目指すユネスコエコパークへ取り組むことが、「雪と暮らすまち ブナと生きるまち 奥会津只見の挑戦 真の価値観の創造」を理念とする 只見町の振興計画です。 |
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■これまでの主な経過(只見町発表より一部抜粋 リンク先は只見町広報PDF,JPGデータなど)
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町ぐるみで取り組むエコパーク登録に向けた活動。人口4,700名ほどの小さな町で起きているこの大きな計画に、地元の方々はどのように受け止め、取り組んでいるのでしょうか。町の方などにお話を聞いてみました。 ※これは当サイトが独自にお話を伺ったものであり、ほんの一部です。今後も各方面の方々からお話を伺うことができ次第、更新していく予定です。
■増田さん(只見町役場) エコパーク登録へむけた活動は、観光名所としてのPRではなく、地域の人々が只見の自然を暮らしの中に取り入れて生活していることに最も注目して欲 しいと思います。きれいな水はもちろんのこと、山菜・キノコをとったり、冬の手仕事であるつる細工のつるをとったりと、只見の人の生活は森と密接な関係が あります。密接だからこそ「エコパーク登録で自然が壊されるのではないか」「生活が変わってしまうのではないか」という不安を抱えた方もいらっしゃいます。只見の自然恵みを取り入れた地域の人々の生活そのものがエコパーク登録の対象であることを地域の皆さんに知っていただけるよう活動を続けたいと思います。
■安藤さん(只見町在住/東京から只見町へ移住,藍染教室講師)
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■安ヶ平さん(南会津町在住/全国の山々を歩き、その調査も行う森林インストラクター) |
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■佐藤さん(只見町在住/町内で民宿経営、自家栽培米でどぶろくの醸造) エコパークについて直接かかわるような活動には参加していないので、まだ漠然とした感覚しかないのですが、もし認定されたら町に人が集まって活気が出ることは喜ばしいと思っています。エコパーク認定されることで立ち入り禁止になる場所が出来たり、山菜採りが規制されたりすることがあるのかな?というくらい。今後の町の報告や説明によく耳を傾けようと思います。
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エコパークに推薦された只見町へ実際に足を運んでみましょう。トレッキングコースとして指定されている「恵みの森」は、雄大な山々と豊富な雪によって育まれた豊かな自然のなかを歩くことができます。トレッキングに行く前には、ぜひ「ただみ・ブナと川のミュージアム」へ。只見の森の植物・生物と環境に関する知識が深まり、トレッキングがいっそう楽しくなるはずです。
| ■恵みの森 | |||||||||||||||||
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■住所 只見町布沢
「恵みの森」は、沢の中を歩いて滝を眺めたりする2時間半~4時間のトレッキングコース。また、只見町と金山町の境の峰に広がる「癒しの森」と呼ばれるブナの森もあります。子供たちの自然観察にもピッタリの約2時間のコースです。 |
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■散策・トレッキングの問合せ・申し込み ・只見町観光まちづくり協会 TEL.0241-82-5250 ・森林の分校ふざわ http://www.fuzawa.jp/ TEL.0241-71-9511 ・季の郷 湯ら里 TEL.0241-84-2888
■2012年只見町「水の郷まつり」2日目に行われたトレッキングの様子をご紹介します ・動画
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| ■ただみブナと川のミュージアム | |
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■住所 只見町大字只見字町下2590番地 ■開館 9:00~17:00 ※最終入館16:00まで ■閉館 |
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ブナと川のミュージアムは、只見のブナの森を巨大なジオラマで紹介するとともに、そこで行われている生命の循環の様子(水のはたらきや四季のうつろいによって落葉が木々の栄養になる過程など)をわかりやすい展示で紹介しています。 |
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ZONE1:「ブナの森へようこそ」 ブナの巨木がお出迎え ZONE3:「只見・ブナの森の物語」 ブナの巨木、 鳥や植物など只見の自然を再現。昆虫の標本なども展示。 |
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休憩室で木工クラフト体験ができます
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