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2013/07/19 09:09

祇園祭御党屋

南会津町田島地区で毎年7月22,23,24日に開催される会津田島祇園祭。

今年は3日間とも雨の中での開催となりました。

会津田島祇園祭(以下、祇園祭)は、800年の歴史を持ち、絢爛豪華な花嫁行列が行われる七行器(ななほかい)行列や勇ましい大屋台の運行、そしてその屋台上で行われる子供歌舞伎など見所の多いお祭りです。 

七行器行列

 

子供歌舞伎

 

これら祇園祭の華やかな面も特徴的ですが、祇園祭を裏で支える御党屋(おとうや)制度というものが大変ユニークなものでした。

御党屋組の人々

 

御党屋とは祇園祭の祭事を運営する組織の事で、御党屋に属する人々を御党屋組と言います。田島地区には現在9つの御党屋があり、毎年交代で祇園祭の運営を行います。全国の神社の祭事も氏子が運営すると思いますが、御党屋組が祇園祭に係る密度が比較にならないほど濃いのです。

では、実際にどういったことを御党屋組が行っていたのか、祇園祭の一ヶ月前にさかのぼってご紹介しようと思います。

 

2013年6月30日(日) 大祓式 田出宇賀神社・熊野神社

6月末に行われる大祓式。大祓式自体は全国の神社で行われ半年分の心身の穢れを祓い清めるものですが、祇園祭が行われる田出宇賀神社と熊野神社では、御党屋組を含め祇園祭に係る人々がお祓いを受けます。

 

出席者には人形(ひとがた)が配られます。これに罪や穢れを託し、小川に流します

人形で体をなで穢れを写し、息を三回吹きかけ、魂を込めます。体の良くない部分を念入りになでるといいそうです

 

2013年7月7日(日) 注連縄作り・注連張りの神事 国権酒造

今年の御党屋は上町上側(かみまちうえがわ) 。御党屋を代表となる御党屋本(おとうやもと)は明治十年創業の国権酒造。御党屋本の役割は禍を祓ってくれる神様を自宅に迎え入れる事。そのための準備がこの日から始まります。

国権酒造

 

今年の御党屋組は19戸。朝8時に御党屋本に集合し、男性陣は御党屋宅と御神酒(おみき)の樽、神輿などに張る注連縄(しめなわ)を作り、女性陣は直会(なおらい)という神事の後の食事を準備します(厳密には直会も神事にあたります)

 

注連縄張りは、雨が降り出したこともあり上町の上町屋台格納庫の中で行われました。祇園祭の当番御党屋になるのは、十数年に一度、久々の注連縄づくりに悪戦苦闘する人もみられましたが、必要分を無事完成。

   

 

一方、女性陣は直会の準備中。献立は一汁五菜。御党屋組は祇園祭を裏で支える存在ですが、本当の意味での裏方は御党屋組の女性陣たちだと言われます。これから神事の度に直会の準備、そして後片付けに追われ、祇園祭当日も表に出ることはありません。

   

 

準備が整った頃、御党屋本が田出宇賀神社の宮司を迎えに行き、床の間に幣束(へいそく)を立てて注連張り(しめはり)の神事が行われます。この神事以降、御党屋組は潔斎(けっさい)の期に入ります。祇園祭終了まで以下の3項目を守らなければなりません。

 

  1.獣肉(四足)、鶏肉(二足)、卵類を食してはならない

  2.葬儀に参列してはならない

  3.女性は「月のもの」の御神符を身につけておく

 

注連張りの神事

 

約2週間、肉類は食べられず(魚はOK)、もちろんこの日の直会の献立にも含まれていません。

神事の大切さを重んじ、昔からの仕来たりをしっかり守っています。

神事後、御党屋組は各戸に戻り、注連縄を玄関口に取り付けます。

 

 

この日の夕方、神社までの参道には、御神燈に明かりが灯されました。祇園祭が近づいている事が目にみえて感じられるようになります。御党屋組も祇園祭の始まる22日まで、御党屋本から毎晩二人一組が提灯を持ち、神社にお参りをする代参(だいさん)を行います。

   

 

2013年7月9日(火) 御神酒仕込み 国権酒造

祇園祭で神様にお供え物を献上するのが、七行器行列。お供え物は御神酒、赤飯、鯖と決まっており、御神酒も御党屋組で準備します。御神酒はどぶろく、御党屋本の細井さんは酒造りのプロ。しかも毎年の御神酒作りをサポートしているので、今年はさぞおいしい御神酒が出来上がると期待が高かったです。

 

 

御神酒はホーロー樽2つ分。およそ240kgのお米が使われます。祇園祭が開催されると、一般客にもふるまわれる為、大量に作る必要があります。神社本殿に樽を運び、お米、米麹、水、酵母を入れます。日本酒の香りが本殿の中に満たします。この後、蓋をして、注連縄を締め幣束を立てます。7月21日の御神酒開きまでこのまま本殿に置いておくそうです。

   

 

2013年7月10日(水) 代参 田出宇賀神社・熊野神社

雨が降り続く夕刻19時30分。田出宇賀神社・熊野神社では祇園祭の最終日に舞われる太々御神楽の練習が行われていました。楽人の笛と太鼓の音色と舞方が振る鈴の音が蒸し暑さを和らげてくれます。この日の代参は偶然にも御党屋本の細井さんでした。何を願いましたかと尋ねると「祇園祭を何事もなく無事に執り行う事。そうなることを祈っています」との事。また御党屋制度については「800年以上の伝統がある神事。これから新たにこういった祭りを作るのは不可能に近いと思うので、伝統を大切にしていかなければならない」と仰っていました。

   

 

かつては23組あった御党屋組も現在は9組。組を構成する家々の数も高齢化などの理由で少なくなっている。次の当番御党屋が回ってくる9年後、果たして御党屋組としての責務を全うできるか、不安を口にする人もいました。観光行事として祇園祭を休日に行い、観光客も運営する人も確保してはどうかなど色々な意見がある中、祇園祭は神事であり田島地区に住む人々にとってはとても大切なもの。そこは変えずに残していきたいと細井さんは言います。

 

2013年7月20日(土) 道具出し・御神橋架け 田出宇賀神社・熊野神社

祇園祭を二日後に控えた7月20日 、準備もいよいよ佳境に入ってきました。

午前8時、神社倉庫より祇園祭で使う道具が運び出されます。

この中には、七行器行列で使う七つの行器はもちろん、神様が渡る御神橋や提灯立て、幔幕(まんまく)など祇園祭にはなくてはならないものばかりです。

   

 

御党屋本宅に道具が運び込まれると、男性陣は幔幕張りや御神橋掛け、女性陣は道具の数を数えたり、破損しているものがないかチェックを行います。

御神橋は半円形をしており、橋の両端を杉の葉で縁取ります。その後砂を敷き詰め、四方を注連縄で囲み、23日まで誰も渡ることができません。

   

 

作業が終わるころ、神様を迎え入れる準備と、七行器行列に参列する人々を迎え入れる準備が整いました。御党屋本宅は幔幕が張られ、御神橋と合わせて神聖な印象を受けました。家の中の壁には祇園祭3日間の直会の献立や七行器行列に参加する人々の役割と名前が四方いっぱいに張り出され、祇園祭が近いことを肌で感じることができました。

 
 
 

 


2013年7月21日(日) 御神酒開き・神棚づくり 国権酒造
祇園祭前日、この日は7月9日に仕込んだ御神酒が出来上がり、御神酒開きを行います。

神社の本殿で発酵させた御神酒は樽の蓋を開けると、濃厚な日本酒の香りが広がります。

御神酒は国権酒造に持ち帰り、やわらかく滑らかになるように石臼で引きます。今年の御神酒は美味くできたと評判です。

   

 

石臼引きが続けられる中、御党屋本は神社の宮司を招き、神棚つり神事が行われました。神棚の中央に大きな幣束が立てられます。祇園祭は田出宇賀神社と熊野神社の祭り(正確には田出宇賀神社の祇園祭と熊野神社の例大祭)です。そのため、田出宇賀神社の御党屋本があれば、熊野神社の御党屋本もあり、同様の神事がもう一つの御党屋本でも行われています。神事の度に宮司を招き、直会をします。略式などで簡略化せず昔のままの神事を行う事に深い感銘を受けました。

   

 

神事が終わると、招待者に御神酒のお披露目。御党屋組は接待役として、御神酒を御馳走し、御神酒の出来や無事祇園祭が開催される事を語らいあいます。

 

泣いても笑っても祇園祭は明日から開催。これまで準備を滞りなく進めてきた御党屋本の細井さんは、「後は流れに身を任せるだけ」とおっしゃっていました。
 

2013年7月22日(月) 例大祭

祇園祭当日。祭礼がとり行われる区間は交通規制が引かれ、大屋台や露店が立ち並び始めました。

これまでの準備段階では御揃いの御党屋Tシャツを着ていた御党屋組の男性陣も例大祭には全員裃(かみしも)の正装です。

 
   

 

例大祭神事では、氏子や関係者一同が参列。

 

 

2013年7月23日(月) 渡御祭 

 

2013年7月24日(月) 帰座の神事

 

 

 

 


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