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他地域から南会津へ移住してきた方、自宅と南会津の二地域に住まいを持ち生活している方にインタビューしました。次世代を担う若い世代から退職後の自由な時間を楽しむ団塊世代まで、様々な立場の方々にお話を伺っています。「田舎暮らしをしてみたい」と考えている方に参考になる、南会津での暮らしの魅力はもちろん、移住前には想像していなかった壁、理想と現実についても率直に話していただきました。動画に掲載しきれなかったこぼれ話も書き加えましたので合わせてご覧ください。

 

ep.1 様々な縁に導かれて飛び込んだ土地で、沢山の人とつながる暮らし(只見町 伊豆さん夫妻)
ep.2 「人生の岐路に立ったとき選んだのが南会津。ここで挑戦したいことが沢山ある」(只見町 石橋さん)
ep.3 夏は南会津で飲食店、冬は埼玉の自宅での二地域居住(南会津町 安藤さん夫妻)
ep.4 やりたいことを求めて行き着いた南会津、今も大きな目標に向かって邁進中(南会津町 大久保さん)
ep.5 夢は一国一城の主。南会津で農家を始め、助け・助けられで乗り越える日々(只見町 伏見さん)
ep.6 長年の夢を叶えて古民家へ移住、悠々自適にのんびり暮らすつもりが・・・(南会津町 大熊さん夫妻)
ep.7 菜園でたくさんの野菜づくりに挑戦!団塊世代の悩みとも両立する二地域居住(下郷町 長谷川さん夫妻)
ep.8 療養の地を求めて南会津へ。美しい水と空気があれば身体は嘘をつかない(南会津町 池谷さん)
ep.9 「憧れの棟梁のもとで働きたくて」次世代を担う若い大工と、その夢を支える家族(下郷町 望月さん)

ep.10 長年の夢を実現、毎日忙しい充実の日々(下郷町 落石さん)

編集後記

 

ep.1 様々な縁に導かれて飛び込んだ土地で、沢山の人とつながる暮らし
只見町 伊豆さん夫妻

第1回でご紹介するのは、千葉県浦安市から只見町へ移住された伊豆さん夫妻です。
■移住歴

 6年
■職業

 自宅にてビストロ「番所茶屋 叶屋」経営
■家族

 ご主人、奥様、娘さん、愛犬(甲斐犬の優虎くん)

 

 

 

- 移住のきっかけは?
[ご主人] 

子供のころから山登りが好きで、高校に進学してからは山岳会に所属し世界の険しい山の登頂を目指して、日本各地でトレーニングの日々を過ごしてきました。そのころから、いつか山のふもとで住みたいという希望がありました。
 
- 只見に決めた理由は?
[ご主人] 

長野県の駒ヶ根も、南アルプスの中央で山に囲まれていいところだなと思ってそこに土地も見当をつけていたんですが、ある時、只見の人と知り合う機会があって、只見は駒ヶ根よりも圧倒的な自然があるし、南会津の山には登ったことがなかったから会津に住んでみるのもいいな思い始めていました。そんな折、たまたま(今住んでいる)この家が売りに出ていたので、ほぼ即決で決めてしまったんです。
 
- 移住してから大変だなと思ったことは?
[ご主人]

雪が大変。2メートルくらい積雪があるので、この辺では「雪かき」ではなくて「雪ほり」と言うんですが、はじめは、わけもわからずに朝まで家族で雪ほりしていた時もありました。
[奥様]

移住してから、家族と過ごす時間が増えました。都会にいた頃はそれぞれの仕事があってそれぞれの生活があったけど、こっちにきてから、家族と過ごす時間が濃密になったと思います。ここで何年か過ごす間、この近すぎる距離が嫌になる時もあり、お互いをわかっているようでわかってなかったんだなと・・・ こんなこともあるんだって改めて気付かされました。今はもう距離の取り方がわかってきましたから、お互い好きなようにやってうまくいっていますよ。(笑)
 
- 移住してから心掛けたことは?
[ご主人]

地域の奉仕活動には積極的に参加しました。都会からきて、草刈り機なんて持ったこともなかったけどとにかく行って、半人前の仕事でもいいから「手伝おう」という気持ちが、地域の人と良い関係をつくる上でも大事だと思いました。慣れないながらも作業をしていると、「それはこうやるといいんだよ」とかアドバイスをもらったりして交流が生まれて、何かと気にかけてくれるようになったり。

そういう意味では、ここで店をやるということはとても良いきっかけだったように思います。この近隣の地域の方はもちろん、只見の町内の方々が「あそこに引っ越してきたのはこういう人間だ」というのを実際に会って知っていただけるし、そこで人の和がつながっていくことも実感できます。
 
- 只見へ来て良かったと思うときはどんなとき?
[奥様]

田舎で暮らすと言っても、何かと便利な"地方都市"へ行くよりは、浦安から只見という180度違う環境に来た事はかえって良かったとよく二人で話しているんです。中途半端に便利な場所だと、浦安での生活と比べてしまうと思うんです。この只見での生活はもう何から何まで、これまでとは全く違っていたからこそ「ここでの生活はこういうものだ」って素直に受け入れられたんだと思います。街が遠いとか、雪かきが大変とか、不便なこともあります。でもそれ以上にまわりのきれいな空気や、蛇口をひねればおいしいお水が飲めたり・・・。水が良いとか健康的な生活が出来ているせいか、ごはんがおいしいと思えるようになって、そんな小さなことが「幸せだな」って思えるのが嬉しいと感じています。
 
- これからこの地でやりたいことは?
[ご主人]

只見には本当に素晴らしい自然があるんだよって、地元の人自身に知らせていきたいと思っているんです。地元の人は昔から当たり前にそこにあるものだから、これがどんなに価値ある素晴らしいものかっていうのは改めて認識する機会はそうそう無いと思うんです。只見町は、町や若い世代がエコパーク認定を目指して取り組んでいるけど、自分でできることがあるなら力になりたいと思っています。自分の名刺もね、こういうふうにしているんですよ。(伊豆さんの名刺には只見のブナの原生林の写真が大きく印刷されています。)名刺を渡した相手に只見の良さを伝えるきっかけづくりになればと思って。
[奥様]

引っ越してくる前からもう只見の自然はとっても魅力的だとは思っていましたが、只見の山は手つかずの自然がのこっていて、野生動物の生態系や、植物の自生する環境が他の地域にはない特殊なものなんだっていうのは移住してから知りました。自分たちが只見の自然について勉強しながら、発信していける機会があればどんどん参加したいと思っています。

 

 


ep.2 「人生の岐路に立ったとき選んだのが南会津。ここで挑戦したいことが沢山ある」
只見町 石橋さん

第2回は、東京都から南会津の只見町へ移住し、現在は会社経営を続ける傍ら只見町議員としても活躍されている石橋明日香さんです。
■移住歴

 2年
■職業

 会社経営、只見町議員
■家族

 ご本人、ご主人、娘さん

 

 

 

 

- 只見に移住しようと思ったきっかけは?
東京で暮らしているときに大病を患ってしまい「余命いくばくも…」と言われて。他にも理由は様々ありますが、色々と人生に変化があって、たんだんと価値観が変化してきて、最終的に「田舎がいい」「田舎に移住しよう」と思うようになりました。なんでも手に届く範囲に有る東京よりも、何にも無いところで自分で作り出すことをしてみたかったというのもあります。
最初は、国内でも海外でも、移住できれば本当にどこでもよかったんです。最初の検討では只見は全然候補には挙がっていなくて、那須の別荘地などを見に行ったりしていました。
古民家が好きだったので、古民家めぐりをしようと新潟に向う途中で、たまたま通りかかったのが只見でした。そこで一気に惹かれたんです。本物の田舎というか、日本の原風景ともいえるような場所だと思いました。福島県も各地を見てまわって、良いところだなとは感じていましたが、奥に行けば行くほど、自分には魅力的に映って…。車を走らせていると、自然と笑みがこぼれるようなウキウキ感を味わいました。
 
 
- 移住してみて変わったことは?
以前は、病気していたこともあって、人と会う気分になれませんでした。本当はあまり人付き合いがしたくなくて田舎に来た、という部分もあります。だから、田舎での暮らしは近所付き合いが嫌になってすぐ東京に戻ってしまうのでは…と自分で思っていましたが、想像した以上に自分が田舎に適応してしまって。ほんとうに今は田舎暮らしが楽しい!
ご近所さんと話すのも楽しくて、お茶を飲みに行ったりもよくしています。隣の家のおじいさんが家庭菜園のアドバイスやお世話もまめにしてくれて、うちの赤くなる前のパプリカを「ピーマンできたから食べろ」って持ってきてくれたりとか(笑)
いま思えば、逆に、嫌でも人付き合いが必要な場所に来てしまったことで外に行く機会を得られたというか、別荘地には行かなくて正解だったと思っています。


- 移住してみてご家族の反応は?

 夫は今も東京で仕事をしています。休みが取れるとこの家に来て、「やっぱり田舎はいいなあ~」なんてゆっくりしていくんですよ。ここの中学に通う娘は、移住してきて早々にこちらの暮らしに適応した気がします。去年の水害では、川があふれたり裏山が崩れたりでうちも避難せざるをえない状況になりましたが、そんな常ならぬ状況にも娘は動揺することなく、避難所で家族以外の人と接することを逆に楽しんでいたようで「やっぱり実際に体験してみないと解らないこともあるよね」なんて言っていたんですよ。(笑)


 
- 移住して困ったことは?
豪雪地帯なので、冬の間の除雪費用が税金のようにのしかかってくるところは、やっぱり負担といえば負担です。それから、(都会とは入ってくる情報量が少ないこともあり)知的好奇心を刺激できるような会話をする機会はなかなか無いですね。
 
 
- 南会津に移住を考えている方へアドバイスをお願いします
人それぞれに合う気質ってあると思います。その土地との相性というか。田舎は田舎でも、少し行けばお店があるところもあれば、只見のように車がなければどこにも行けないしお店も少ないようなところもあります。だから何度も通って、自分にこの土地が合っているかどうかきちんとみてから移住を決めるのが一番いいと思います。
 
 
- これからこの町でやりたいことはありますか?
私は、本当にこの町の人が好きで、色んな人との出会いに感謝しています。少しでもこの町の人に恩返しがしたいという思いがあって、これからこの町でこんなことをやりたいの、と話すと、地元の人は明るい話題を振ってくれる人としてとても喜んでくれるんです。自分たちの住んでいるところがいいところだって、地元の人にこそ只見の良さを感じてほしい。只見は水害があったり、人口が減ったり、暗くなってしまう話題も多いけれど、これから地元の人たちを明るく元気な方向に引き上げていけるお手伝いができたらいいなと思っています。

 

 


ep.3 夏は南会津で飲食店、冬は埼玉の自宅での二地域居住
南会津町 安藤さん夫妻

第3回でご紹介するのは、埼玉県と福島県の南会津町で二地域居住を始めて10年目を迎えたお二人です。
■地域

 埼玉県、南会津
■職業

 飲食店「尾瀬の台所 コパン」経営
■家族

 ご主人、奥様

 

 

 


- 南会津で二地域居住を始めたきっかけは?
[ご主人]

昔からスキーが好きで、やっぱりスキーがしたかったからですね。高畑スキー場ができてから毎年南会津に来るようになって、その頃から、小さくてもいいからこっちに自分たちの家が欲しいと思うようになりました。毎年スキーに通ってる間に親しくなった貸スキー屋さんのおじいさんがお世話してくれて、住む家を見つけることができました。
 
- 貸しスキーのおじいさんと仲良くなったきかっけは?
[奥様]

はじめてスキーを借りにいったとき、免許証(身分を証明するもの)がないと借りられないことを知らなくて困っていたら、オーナーのおじいさんが「家族で来てるんだし悪い人じゃなだろうからいいよ」って3日間スキーを貸してくれたことがあったんです。それで、次に来たときに、この前良くしてもらったからってお土産を持っていったのがきっかけで仲良くなって、いろいろ良くしてもらいました。
 
- 二地域居住とはどんな生活?
[奥様]

最初の何年かは、自宅のほうで仕事もありましたから、夏休みや冬休みなど長期の休みの間だけ南会津に来ていました。それが10年くらい前。その後退職し、店を始めてから6年くらいになりますが、店をあけている春~秋の間は1カ月に1回埼玉に帰るくらいで、基本的には秋までずっとこっちで生活します。
 
- 二地域で暮らしてみて感じたことは?
[ご主人]

南会津は空気も水もうまいし、都会でせかせか働いてきたから、のんびり過ごせていい。ただ、病院が近くにないので病気したらどうだろうって心配もあって、これが今の課題かな。
[奥様]

病気とか怪我した時に、田島(南会津の中心地)にある病院までいかないといけないし、田島でだめな時は、会津若松(車で約2時間)の病院にいかないといかないといけないから・・・。

- お店を開こうと思った理由は?
[ご主人]

定年退職した後、田舎で何をしようかと考えた時に、手先の仕事はやったことがなかったし、元々食べることが好きだったから、食べ物屋さんをやろうと思ったのがきっかけです。
[奥様]

もちろん最初は本当に何年ものあいだ試行錯誤しました。何度もひとつの料理を作って、「これはダメだ」「おいしくない」なんて家族の厳しい指摘を受けながら自分たちで納得できる味を少しずつ完成させていって。今では、尾瀬に行くついでに必ずうちに寄ってくださるお客さんも多いし、ここで知り合ったのをきっかけに毎年関東から車で来てくれる若者もいるんですよ。この間なんて、その彼が彼女を連れてきて、なんと「結婚します」って報告に来てくれたんですよ。
 

- 田舎暮らしをはじめようと思っている方へアドバイスをお願いします
[ご主人]

自分がまず来て、ここで何がしたいのかはっきりビジョンをつくること。田舎でのんびり暮らしたいとか、あれをやってみたいとか、理想は色々あると思うけど、現実は想定外のことが色々あるからね。思ったことの半分も叶わないかもしれない。けれどあきらめないでほしい。
[奥様]

定年退職した後で、今まで住んでた家を全部引き払って田舎へ越してくるのはリスクもあるから、まず5年くらいは行き来しながら生活して、大丈夫そうだったら田舎へ越してくるのもいいと思いますよ。

 

 


ep.4 やりたいことを求めて行き着いた南会津、今も大きな目標に向かって邁進中
南会津町 大久保さん

第4回でご紹介するのは、新潟県から南会津町たかつえへ移住された大久保辰夫さんです。
 
■移住歴

 1年
■職業

 MTBインストラクター、スキーインストラクター

 

 

 

 

【 たかつえに来たきっかけは?】
全日本スキー技術選手権っていう大会があるんですが、それに出てみたいという目標がありまして。色々調べてみたら日本にはSAJ(全日本スキー連盟)とSIA(日本職業スキー教師協会)の2つのスキー団体があって、自分はSAJの方が活動しやすいだろうということで、SAJのあるスキー学校で、どこかいいところがないか地元の先輩に相談してみたところ「福島の高杖にいいところがあるから1回行ってみたら」と言われたのがきっかけです。
 
【 たかつえでの生活は?】

たかつえでは冬の間だけスキー場で働いていて、夏は他の土地のゴルフ場でキャディマスターをしていたんです。昨年、たかつえでマウンテンバイクのコースをオープンさせるからやってみないかと声をかけられて、それで1年中ここに居ることを決めました。

そんないきさつがあるので、地域の人たちにはとても良くしてもらっています。もともと冬の間はずっとこっちにいたから顔を覚えてもらっていたのもあると思いますが、実際に年間を通してこっちで暮らし始めたら何かと声をかけてくれたり、地元の人と一緒にお酒を飲む機会もあります。
冬のたかつえはもう見慣れていますけど、夏の景色は見たことが無かったから、夏の間、新しいマウンテンバイクコースを作る作業をしている時にみた景色に改めて「こんなにきれいなところだったんだな」って、感動もありました。



 
【 ご家族の反応はいかがでしたか?】
高校を卒業したその年の冬からたかつえスキー場に来ていて、最初は色々言われたこともあったけど、今はもう何も言われないです。最近は、兄弟や両親もたまに遊びにきてくれるようになりました。
 
【 移住してから不便に思ったことや、困ったことは?】
正直、あんまり不便は感じていません。車で少し行けば買い物もできるし、温泉も色々あるので、仕事が終わってからや休みの日は湯ノ花温泉、木賊温泉、行ける時は檜枝岐の方に行くこともあります。新潟県出身なのもあって、方言も特に困ることはありませんでしたね。自分としては、都会よりも田舎の方が落ち着くというか、住み心地は悪くないですよ。
 
【 これからやりたいことは?】
マウンテンバイクの事業が初年度なので、これを本腰入れてやっていきたいと思っています。来年度には新しいコースもできるし、もっと事業を大きくしていきたい。マウンテンバイクを使って、夏場もたかつえにお客さんを呼びたいと思っています。
 
【 これから移住を考えている方へアドバイスをお願いします 】
仕事の面が1番大変だと思う。仕事さえ見つかれば、住むところなんてなんとかなると思います。「これをやりたい!」と思える何かがここにあるなら、南会津はすごくいい場所だと思います。

 

 


ep.5 夢は一国一城の主。南会津で農家を始め、助け・助けられで乗り越える日々
只見町 伏見さん

第5回でご紹介するのは、東京でのサラリーマン生活から只見町の農家に転身された、伏見 正寛さんです。
■移住歴

 6年
■職業

 農業 

■家族

 ご主人、奥様、お子さん

 

 

 

 

【 移住しようと思ったきっかけは? 】
東京でサラリーマンをやっていたんだけど、なんか味気ないというか…。自分が社長になって何かやってみたいと思うようになって、それで、社長になるには何が1番手っ取り早いか考えたら「農業」だと思ったんです。
東京で、農業をはじめたい人向けのセミナーがあって、それに参加した時に色々な都道府県の担当の人が来ていたんだけど、たまたま福島の担当者と話をしたら、南会津地域では南郷トマトというブランドをつくっていて、農業をはじめるときに資金面でバックアップしてくれると聞いてそれで自分でも農業を始められるかなと思って移住を決めるきっかけになりました。
 
【 不安はありましたか? 】
本当に農業だけで生活できるのか?机上での計算は1年間にこうすれば、どのくらいの収入になるってことはわかるけれど、実際に商売にしたことがなかったので、本当にできるのかな?と不安に思っていました。
 
【 作業面や収入面で実際はどうでしたか? 】
まず1年目は研修先で、栽培の仕方やハウスのかけ方を教えてもらって、実際に作業してみて。2年目から自分で畑をやるんだけど、最初の年は計算通りにはいかなかったですね。けど、贅沢しなければ生活できるくらの収入にはなりました。

 

 
【 地域にはすぐ馴染めましたか? 】
村の人みんなで、共用する用水の管理をしたり、林道の草刈りをしたり、田植え前の側溝の泥すくいなどをやるんですが、自分自身そういうふうに集まって何かやるのも嫌いじゃないので、率先して参加しました。そうすると、村の人と親しくなれて、その後の飲み会に顔を出したりとかそういうところから入っていって村の人に覚えてもらって結構スムーズに溶け込めたと思います。
 
【 太鼓グループのリーダーをされていると伺ったのですが 】
東京にいたころから和太鼓をやっていて、こっちでもやりたいなと思っていたら、たまたま只見町に和太鼓のグループがあって、使える太鼓がたくさんあったので「やろう!」ってみんなに声をかけて始めました。盆踊りや地域のお祝い事で演奏したり、最近では、只見町の介護施設にも演奏にいきました。
 
【 移住してから困ったことは? 】
雪国なので、服やガソリン代、暖房費、除雪費…と、なにかとお金がかかるところ。雪が降る前に急いで畑のハウスを片付けないといけないとか、雪国特有の大変さはあります。あとは、冬の間の収入源がないので、冬の間は何をしようかと考えていますね。
 
【 これから挑戦してみたいことはありますか? 】
今まさに挑戦中なので、これから新しいことはなかなか思い浮かばないけど今ある畑の規模をもう少し広げて大きくしたいです。和太鼓も本格的に活動して、色んなところで演奏できたらいいなと思っています。それから、子供の太鼓チームも作れるといいですね。
 
【 移住を考えている方へメッセージをお願いします 】
近所の人とうまくやっていければ、自分が仕事で困ったとき、雪で困ったとき、まわりの人の協力や助けがあると全然違います。
まわりの人に対してできることがあれば積極的に協力して、コミュニケーションをとることが重要だと思います。

 

 


ep.6 長年の夢を叶えて古民家へ移住、悠々自適にのんびり暮らすつもりが・・・
南会津町 大熊さん夫妻

第6回は、埼玉県から、曲家(まがりや)と茅葺の景観が国の「重要伝統的建造物保存地区」に指定されている南会津町前沢に移住された大熊さん夫妻をご紹介します。
■移住歴

 10年
■職業

 農業、集落ガイド、農業体験受入等
■家族

 ご主人、奥様

 

 

 

 

【 田舎暮らしを始めるきっかけは? 】
[ご主人]

ヤマメや岩魚釣りに30年くらい、南会津に通っていたんです。釣りのシーズンだけでも、年間10回以上は来ていたと思います。田舎暮らしを想定して、埼玉に住んでいたころから小さな畑を借りて農業の練習がわりに家庭菜園をしていました。定年を迎える前から「もう会社を辞めて田舎へ行っちゃおうかな」ってずっと思っていたんです。

[奥様]

でもこっちはね、「そうはいかない、定年までは働いてもらわないと」って。引き止めてたんです。(笑)
 
【 南会津に移住を決めた理由は? 】
[ご主人]

田舎暮らしの本を愛読していて、どこか移住先でいいところがないか長野や那須の方とか色んな場所を見て歩いていました。その頃、南会津に釣りに来ている時にたまたま読んだ情報誌で、この家が売りに出ているのを見つけて、 「あ、この家知ってる!」という感じで。この辺にもよく釣りに来ていて、場所は知っていましたから。巡り合わせというか、ご縁をいただいたんだと思いました。移住する第一の目的はやっぱり釣りをすることだったので、ここに移住を決めました。
[奥様]

もう川に馴染んでしまっていたので、やはりこちらがよかったみたいです。南会津は、お酒もおいしいし、温泉もあるし、釣りもできる。主人の好きなものばっかりあるんですよね。(笑)

【 移住する際に大変だったことはありますか? 】
[ご主人]

この家を買ったのが定年になる2年前で、その時はまだ住んでいる人がいたから、家の状態は大丈夫だろうと思ってよく確認しないで買ってしまったんです。いざ来てみたら、お風呂がなかったり、雨漏りするところがあったり・・・後から知って、本格的に引越してくる前に全部修理することになりました。
その時はまだ埼玉で仕事をしていたので、この集落に住んでいる大工さんに家の鍵を預けて修理してもらっていたんです。それがきっかけで大工さんに自分たちの存在を知ってもらって、「あそこに引越してくる奴はこういう奴だよ」というようなことを集落の人にもなんとなく知らせてもらえたので、地元の大工さんに頼んだことはとても良かったと思います。地域の事も色々と教えてもらったり、なにかと面倒をみてもらいました。おかげで、大工さんを通して集落の人ともスムーズに交流することができました。

 
【 移住してから困ったことは? 】
[奥様]

最初のころは、「病院どうしよう」「買い物どうしよう」「雪が降ったらどうしよう」って心配ばっかりだったけれど、車があれば用事は足りるし、バスも集落の前まで来るし、雪が降っても除雪車が来てくれるので、それほど困ることはありません。
ただ、方言には困りましたね。1対1で話す時は、相手も気をつけてゆっくり話してくれるんだけど、地域の集まりでみんなで話している所で会話を聞いているともう早口で解らないことが多かったです。お葬式のときは周囲の家の人がお手伝いをするんですが、そのための話し合いのときにいちいち意味を聞くわけにもいきませんし・・・。自分の役割が何か、ちゃんとわかっていないといけないから、話し合いが終わったあとに親しい人のところに聞きに行って、あれはこういう意味で大丈夫?って、確認をしに行ったこともありました。
 
【 移住にあたって、ご家族の反応はいかがでしたか? 】
[ご主人]

私には孫がいるんですが、その面倒をみてもらえると思っていた子供達からは反対されました。「あてが外れた!だまされた!」って。(笑)
[奥様]

でも今は、ここに遊びに来るようになって、山に行ったり、川で遊んだり、冬は雪で遊んだり、スキーに行ったりして思いっきり田舎の自然を楽しんでいってくれるのが嬉しいです。埼玉からそんなに遠くないので、必要があればいつでもかけつけることもできるし、今は心配はしていません。
 
【 前沢地区のガイドもされているとお伺いしたのですが… 】
[ご主人]

最近では、町から頼まれて前沢曲家集落のガイドをやることがあります。案内した観光客の人から、なまりがないとがっかりされたこともありました。(笑)   だから、最近では標準語となまりを混ぜてガイドする時もありますよ。
それから夏休みの間は、子供たちの宿泊体験の受け入れもしていて、田舎を知らない都会の子供たちが都会では経験できないようなことを身体いっぱいで感じ取って成長して帰っていく姿をみるのが嬉しいです。
 
【 これから田舎暮らしを考えている方へアドバイスをお願いします 】
[奥様]

田舎に来たら楽しいことがたくさんありますから、自分が何をしたいのか、何を楽しむか良く考えてきた方が良いかもしれませんね。あと、家を買うときは、よく見てから買うこと。(笑)
 
【 これからこの地でやりたことはありますか? 】
[ご主人]

田舎暮らしをしているって友人や仕事時代の同僚なんかに言うと「のんびりできていいね」って言われるんだけど、実際は違う。畑は毎日毎日雑草が伸びてくるし、やっとその時期が過ぎたと思ったら雪が降る前に冬支度をしなきゃいけないし、冬は冬で雪かきもあるし、1年中、朝から晩まで忙しいんですよ。自分の好きな釣りをするために田舎へ来たのに、畑仕事が忙しくて大好きな釣りをやる時間がないんです。"農業"より、もう少し"漁業"に専念したい。(笑)
[奥様]

畑をやるのも色んなものが実って楽しいから嫌じゃないけど、できれば、もっと趣味の時間を多めにとれる生活をしたいかな。移住してきて数年経つから、家や畑の整備のような作業はひと通り終わったし、これからは釣りや山登りがもっとできればいいなと思っています。

 

 


ep.7 菜園でたくさんの野菜づくりに挑戦!団塊世代の悩みとも両立する二地域居住
下郷町 長谷川さん夫妻

第7回でご紹介するのは、栃木県南部の自宅と下郷町の二地域居住をされている長谷川さん夫妻です。お二人が暮らす下郷町の「クラインガルテン」は農地付きの家に住みながら菜園を楽しめる“滞在型市民農園”です。退職前のサラリーマン生活から一転、家庭菜園の魅了に目覚め、野菜作りを楽しんでいるお二人にお話を伺いました。
■移住歴

 2011年4月から入居

■家族

 ご主人、奥様

 

 

 

【下郷町を選んだ理由は? 】
[ご主人]

ここに来る前は、北海道のクラインガルテンに滞在していたんです。クラインガルテンは同じところに滞在するのは長くて4年間という決まりがあるので、次はどこへ行こうか色々と探していたら福島県の下郷町にもクラインガルテンがあることを知りました。ここは北海道と気候が似ているし、ここは夏の間もクーラーがいらないくらい涼しくて、過ごしやすいのが1番の決め手になりました。それから、北海道の施設は雪などの関係で冬は閉鎖されてしまって春~秋しか居られなかったんですよ。こっち(下郷)は冬の間も1年中滞在する事ができるから、冬も楽しんでみたくて。何かの用事がある時以外は、自宅のほうには戻らずにずっと下郷にいます。

[奥様]

親に何かあったときに、すぐ駆けつけられる距離っていうのは大きかったと思います。北海道にいたときは帰宅するのにとても時間がかかっていましたから。今は電車でも1本で行けますし、そういう意味では便利で気持ち的にも楽かもしれません。
 
【震災直後の入居ということで不安はありませんでしたか? 】
[ご主人]

テレビでは南会津は放射線量が少ないと言っていたし、だめだったら地元の人も住んでないだろうって、そんな単純な結論。(笑) でも実際、若い人もお年寄りも地元の人が変わらずに住んでいるってことは、どこからきても大丈夫だってことだと思って入居しました。
[奥様]

栃木の地元の人にはやっぱり最初は心配されました。でも、こちらに来てから役場の人やまわりの人と(線量や普段の生活について)話をしていたら、安心感がありました。

【ここではどんな野菜作りに挑戦しましたか? 】
[ご主人]

きゅうり、なす、ししとう、じゃがいも、まめ…なんでも作りましたよ。季節ごとにたくさん。豆だけで言ったって大豆・小豆はもちろん、花豆に、パンダまめ、とらまめ・・・、豆だけでも8種類。夏は野菜の成長が早いからけっこう大変でしたね。ズッキーニは成長が早くて、あっという間に大きくなるから食べきれないんですよ。試しにズッキーニをジャムにしてみたら結構おいしくてね。それできゅうりもジャムにしてみようと作ってみたら、あれはダメだね、きゅうりは臭くてだめでしたよ。(笑)
 
【家庭菜園の魅力にとりつかれた理由は? 】
[ご主人]

退職してからの1年間は、ほとんど旅行して過ごしていたんです。でも旅行も1年すると飽きてきちゃって。で、クラインガルテンで野菜づくりをするようになってみたら、家庭菜園は飽きなかったんです。なんでかって考えてみると、今年の野菜づくりでつまずいたところを、来年はこういうふうにやってみようとか、そういう事を日々考えながらやる所なんかが魅力なのかもしれません。
[奥様]

今まで畑は全然やったことがなくて、種から植えて、手をかけるほど野菜が大きく育ってくれる過程を見られて、それを自分で食べられるところかな。今では家で食べるほとんどの野菜は、自分たちで作っています。クラインガルテンに入居している人同士が、野菜の苗や花の種を交換することもあって、それもひとつの楽しみです。
 
【ここは雪も多く降りますが、冬の過ごし方は? 】
[ご主人]

歩くスキーとかスノーシューをしています。家のデッキからスキーをはいてそのまますべりにいけるので、ここでの生活が気に入ってます。

[奥様]

北海道にいたときは冬は自宅に戻らないといけなかったから、(ご主人は)雪のある環境っていうのがとっても楽しいみたい。

[ご主人]

雪のある生活に憧れがあったから毎日楽しいですね。天気のいい日はデッキに糸ノコの機械を出して、もらってきた廃材で箸置きとか小物をつくったり。家の中でもそばやうどんを打ったり、菜園で育てたあずきを使ってたいやきを焼いたり。冬は雪に閉ざされて時間を持て余すかと思いきや、そいうことをしている間に、冬は冬であっという間に時間が過ぎてしまいますね。


      
【野菜づくりでの苦労はありませんか? 】
[ご主人]

あまり農薬を使わないから野菜に虫がつきやすいんです。朝一番に虫とりに行くけど、これが結構大変。ただ、ここは農業指導員さんが土日にまわってくれるから、わからないことがあればその方に聞けるし、土日以外でも、施設の管理人さんがいるときであれば、管理人さんに相談できるから、とてもありがたいですね。その方は地元の農家さんで農業の経験も豊富だし、この辺の気候もよく知っているからすごく頼りにしています。

【周囲の方々との交流などはありますか?】
[ご主人]

下郷のクラインガルテンは全部で30戸あるんですが、収穫祭など年に何回かイベントをやったりするんです。イベントがあるときは、ほとんど全戸の方が集まるから情報交換ができて面白いですよ。
[奥様]

イベントがあると、地元の方々も手伝いに来てくれて、郷土料理のしんごろうを作ったり、地域の人とも交流できます。ほかにも、私は地元の趣味の集まりなどにいろいろ参加してみているんですが、そこで情報交換をしたり、お料理の作り方を教わったり、楽しくお話させていただいています。

 

【ここでの暮らしで困ったこと、不満に思うことは?】

[ご主人]

ない!(笑)

でも実際、好きでやっていることだから、困難なことも嫌に思わないんですよね。
[奥様]

しいて言うとすれば、私は買い物が少し不便かな。近くにお店がないので、車がないとすぐには買いに行けないんです。
 
【方言に困りませんでしたか? 】
[ご主人]

そんなに困ったことはなかったけど、地元の人が「えんげん」と言ってるのが何の事だかさっぱり分からなかった。野菜の"いんげん"のことなんだと最近ようやくわかりました。(笑) 

【 これからこの地でやりたことはありますか? 】
[奥様] 

地域の人ともっと交流したいです。公民館の講座でつる細工を習ってみたり、料理教室で郷土料理を習ったりもっと地域に馴染んで、色んなものを吸収していきたいと思います。
 
【田舎暮らしを考えている方へメッセージをお願いします】
[ご主人]

あれこれ考えてしまうと、考えだけでなかなか一歩が踏み出せなくなってしまうから、まずは行動してみるのもいいのではと思います。自分たちはここに来て、色んな人と知り合えて、色んなことを教わって楽しませてもらっています。やりたかったことができて恵まれていると感じています。自分たちの世代は、親の介護や子育てなどでやりたくでもできない環境の人もいる。家庭によっていろんな事情があるし、そういう人はその人に合った楽しみ方というのもあると思うから、自分の環境に合った楽しみを見つけることが大事だと思います。
 

 


ep.8 療養の地を求めて南会津へ。美しい水と空気があれば身体は嘘をつかない
南会津町 池谷さん

第8回目にご紹介するのは、神奈川県から南会津町へ移住された池谷さんです。移住後、南会津地域で採れた新鮮な野菜やオーガニック商品を取り扱う「あらかい健康市場」をオープン。ひとりでも多くの人に食の大切さに気付いてほしいと、市場内のレストランスペースでは、曜日限定で酵素玄米や有機野菜を使った食事の提供をしています。
■移住歴

5年(2007年5月に移住)

■家族

 ご本人、奥様、お子様3人

 

 

 

 

 

 

 

 

【移住しようと思ったきっかけは? 】
病気になって生まれ育った横浜で暮らせなくなってしまったので、どこか暮らせる場所がないか全国を探した時に、たまたま南会津の当時の町長さんと知り合う機会があっていろいろとお話をさせていただいて、自分の病気に対して自治体の理解があれば…ということで移住を決めました。
 
【南会津に決めた理由は? 】
環境の良さが1番ですね!空気と水の環境、空の広さ、きれいさ、都会とは比べ物にならないくらいに良かったです。化学物質・電磁波過敏症という病気で、同じ病気の仲間たちも一緒に見学に来ていましたが、その時に夜空を見上げながらみんなで話していた事は「環境の良さでここが1番だよね」っていうことでした。

【移住を決めてから実際に引越すまでの期間は? 】
2006年の10月に一泊二日で初めて南会津に来て、もうそこで気に入ってしまったので本当はすぐに移住を決めたかったのですが「みんな冬になれば、雪に苦労して逃げ帰るから、ひと冬様子をみなさい」って言われて、それから毎月のように南会津に通いました。冬の雪深い時にも来たし、実際にここで暮らせるかどうか確認して、翌年の5月、雪が溶けてから南会津に引越してきました。
      
【実際に暮らしてみて困ったことは? 】
雪国で暮らしたことがなかったので、知識と道具はまったく持っていませんでした。「どうしてそれが必要なのか」とか、「この服装では本当に寒いんだ」とか「これじゃ、雪が片付けられないんだ」とか、雪を片付ける様々な道具や、寒さを乗り越えるための装備がわかるまでに1年かかりました。
 
【移住されてから体調はいかがですか? 】
健康な状態が続いています。昔のように朝から晩まで働き続けることはできなくなったけど、心身ともに・・・特に心が健康になりましたね。
 
【南会津地域の魅力は? 】
自然の移り変わりがはっきりとわかる場所で暮らしてみて色々なことに気づかされました。草についた朝露がきらきらしてきれいだなーと思ったり、朝日に照らされた紅葉の色のきれいさや、冬は真っ白に積もった雪の上に動物の足跡を見つけてワクワクしたり・・・。ここでは、その季節ごとに行われる地域の行事や、自然の恵みに感謝することをすごく大切にしていて、都会にいたら経験できなかったような事を体験することができます。

あとは、人々の温かさが地域の魅力だと思います。自分が困っているときに、とても親身になってくれるんです。南会津の人にとっては、当たり前なのかもしれないけど、都会の生活ではありえないことだと思いました。都会の世知辛さとは違う温かさがここにはあります。 
 
【移住を考えている方へアドバイスをお願いします 】
田舎に行きたいと意識が向いている人は、絶対そこに縁があるはずだから、ためらわず行ってみたらいいと思います。始めは見えない橋を渡るようなものだけど、一歩踏み出すこと!やってみることでしか始まらないんです。自分は病気で都会に住めなくなってしまったという他に選択肢が無い状況で、むこうでの仕事も家も処分してきましたけど、神様はちゃんと居るんだなって思った事は、年収が10分の1になろうとなんであろうと"笑顔で生きていけること"です。それをとてもありがたいことだと思っています。そのためには「絶対に幸せになる!」って本気で思うことが大事ですね。

 

 

 


ep.9 「憧れの棟梁のもとで働きたくて」次世代を担う若い大工と、その夢を支える家族
下郷町 望月さん

第9回目にご紹介するのは、東京都から下郷町へ移住された望月さんです。古民家再生の仕事に憧れ、今の親方に弟子入りするため移住を決意。現在は親方の元で古民家再生の仕事をされています。

■移住歴

9年
■家族

ご本人、奥様、お子様

 

 

 

【移住しようと思ったきっかけは? 】

[ご主人]

もともとは東京の設計事務所に勤めて、マンションとか病院の設計の仕事をしていました。その頃に読んでいた古民家再生の専門誌に、いま自分が勤めている工務店の親方が載っていて、一緒にやりたいと思ったんです。親方は大内宿の出身で、大内宿の再生や古民家の再生を行っている人です。
昔から古い建物や宮大工に興味があったので、親方のもとで働きたいと、その雑誌を見て直接電話しました。まずは実際に現場も見学させてもらって、本当にやりたいという気持ちが強くなって、それを親方に伝えて、受け入れてもらいました。下郷町に来てからもうすぐ9年目です。

  
【現在の仕事場に弟子入りする決め手は? 】
[ご主人]

親方がかっこよかったからです。(笑) タバコをくわえながら一服している写真がその雑誌に載っていて、カッコイイな~と思って・・・

 
【思い出深い現場はありましたか? 】
[ご主人]

震災があって、沿岸のほうから会津若松に多くの方が避難してきて、会津若松市内に仮設住宅を建てることになりました。(会津若松は福島県西部に位置する内陸部。震災の影響は少なく、放射線量も低いため、原発事故のために避難を余儀なくされた町村の人々が多く避難し現在も生活しています。原発に近い大熊町の町役場も会津若松市内に設置されています。)

自分たちが作った仮設住宅は「板倉造り」といって、強度と機能性を備えた昔ながらの伝統工法です。柱と柱の間に木の板を落としていって壁を作るなど、全て木でつくる仮設住宅を大工として建てに行けたことは、下郷町にいたからこそできた事なんだと思ったら、嬉しく感じましたね。 
      
【震災の不安はありませんでしたか? 】
[奥様] 

最初のころは、放射線の情報がわからなくて、やっぱり周囲は心配してくれる人もいました。でも、自分で線量を測って、問題ないということがわかったので、安心して暮らしています。

【移住してきて大変だったことは? 】
[ご主人]

言葉ですね・・・。(笑)職場では専門的な言葉も使うけど、なまりで上手く聞き取れないことが多くありました。それ以外は特にありませんでしたね。

  
【地域にはすぐ馴染めましたか? 】
[ご主人]

親方がすぐ近くに住んでいて何かと面倒みてくれています。いま住んでいるこの家も親方が探してくれました。近所の人も「ごはん食べにおいで」とか「飲みにおいで」と誘ってくれるので、そのおかげで近所の人とも馴染むことができました。
 

【奥様は結婚を機にこちらへ移って来られたそうですね】

[奥様] 

東京で同じ仕事をしていたんですが、結婚を機に下郷に来ました。夫が9年くらい前に今の仕事をやりたいと言ったときはまだ結婚していなかったんですが、特に反対はしませんでした。私も同業者ですし、古いものを再生して後に繋いでいきたいという気持ちは自分も同じでしたから。遠距離なのも特に不安も不満も無かったですね。

 

【下郷町で思い出に残る出来事はありましたか?】

[奥様] 

近所に今は廃校になった小学校があって、校庭にある桜の木の下で結婚式をあげました。

[ご主人]

昔から古いものが好きで、結婚式も昔の様にやりたいと考えていたんです。東京の両親や友人、下郷の地域の人も式に参加してくれて。ちょっと桜の開花には早かったんですけど、ものすごく思い出に残る式になりました。

それから、式の後に地域の老人会の人たちが桜の木に名前をつけてくれたんですよ。 

                              

(左:結婚式の時に全員で撮った写真が大事に飾ってありました。ご家族はもちろん、親戚や友人の方々も下郷町に来てくださり、地域の方々もみんな出席した青空の下での盛大な結婚式。みなさんの笑顔が印象的です。 右:会場となった校庭に立つ古い桜の木には、地域の老人会の方々が作ってくれた名前を記した立て看板。「氏合わせ桜」とあります。望月さんはちょっと照れくさそうでしたが、ご夫婦が地域の方々に受け入れられ、あたたかく見守られている様子が伝わってきます。)

 

【これから移住を考えている人へひとことメッセージをお願いします 】

[ご主人]

悔いがないように好きなことをやればいいと思います。

[奥様] 

なんでも楽しむ気持ちがあればいいと思います。

 

【これからこの地で挑戦したいことはありますか?】

[奥様] 

畑を借りているんですが、育児やあれこれで時間がなくて、まだ手をつけられないので、春になったら家庭菜園をしたいと思っています。上手に野菜作りができるようになりたいです。

[ご主人]

親方と一緒に、ひとつでも多く古民家を残していきたいです。

 


ep.10 長年の夢を実現、毎日忙しい充実の日々(下郷町 落石さん)
下郷町 落石さん

第10回目にご紹介するのは、千葉県から下郷町へ移住された落石さんです。移住後、得意だったパン作りやクラフトを教える教室を開き、地域の方と積極的に交流されています。

 


 

 


 

 

 

【移住しようと思ったきっかけは? 】
畑とか自然なもと触れ合いたいっていうのが第一の目的だったんです。小さいころから男の子みたいにどろんこ遊びが好きだったこともあって、都会にいたころから大き畑を借りて野菜作りをしていたんですが、空気と水がおいしい場所で、野菜や果物を育てたいなと思ってそういう物件を探していたんです。

姉たちと旅行がてら、色々な場所を見に行って、4年位探していました。その中でも福島は空気もおいしいし、水もおいしいし、緑も豊富だしということで福島に限定にして物件を探すことにしたんです。いつも読んでいた田舎暮らしの情報誌に、この家がのっているのを見つけて、ここに決めました。

 

【家族の反応はいかがでした?】
最初2年半ぐらいはひとりで住んでいました。主人は仕事もあったので東京で暮らして、週末になればお互い行ったり来たりしてという生活を送っていたんですが、千葉の方に帰る気はないと伝えたところ、主人も退職後は下郷に移住するということになって。千葉の家は売って、こっちに引越してきました。今は一緒に暮らしています。いざ、こっちに来てみたら畑仕事もこなして、最初は道具の使い方もわからなったけど、今は上手になって畑仕事が楽しいと言っています。


【移住されてから困ったことはありましたか?】
なるべく田舎のルールを受け入れることにしているけれど、全部となるとやはり抵抗があるものもあるんです。だから、できないものはできないとハッキリ伝えるようにしています。ただし、自分中心に強引に、ということではなくて、地域の人に了承を得るような形で伝えるようにしてます。


【ここでパン教室を開こうと思ったきっかけは?】
千葉にいたころからよくパンを作っていて、下郷に引越してきてからお友達になった人に、パン作り教えてと言われたのが始まりです。その時はまだ引越してきたばっかりで、新しいガスオーブンも使ったことがなかったし、一度は断ったんですがそれでもいいとからと言われて。それで教室を開くことになったんです。それからは、地域のみなさんが次々と来てくれるようになって、今でも続けています。パン教室は、幼稚園、小学校の学行事の一環としても利用していただいているんですよ。


【パン作りの他にもクラフトが得意と聞いたんですが】
かご編みの教室も開いています。将来、自分のお店を持った時に販売できたらいいなと思って。かご編みで作った小物入れやかばん等、自分で編み方を研究してオリジナルの商品を作っているんですよ。他には、アクリルペインティングの作品を作ったりと、いろいろなものを作るのが好きですね。自宅の隣にある工房で、絵を描く板の加工や、ペイントをしていて完成した作品を販売できたらいいなぁと思っているんです。

  


【移住を考えている人へアドバイスをお願いします】
ただ「楽がしたい」「のんびりしたい」というだけて、田舎暮らしを始めるのは大変。特に東北の冬は雪かきや力仕事をする事も多いし、車がないと生活できない地域もあるので、そういう面で覚悟が必要ですね。この土地であれがやりたい!という夢をしっかり持って、それを実行しようとする行動力が大事だと思います。

 

【これから挑戦してみたいことはありますか?】
工房を改装して、焼き立てのパンとか、かご編み、アクリルペイントの作品を販売するお店を6月頃にオープンしたいと思っています。パン教室を開く部屋も新しく作る予定があって、今から色々と準備を進めています。
 

 


編集後記


はじめよう田暮らしは、南会津に移住された方々のお話を通して「南会津」という場所をより深く知り移住しようと考えている方に参考にしてもらいたい、という思いで取材を行ってきました。実際に取材を通し様々な方にお会いして貴重なお話を伺う中で、南会津の自然の豊かさや、地域の人の温かさなど違った視点から南会津の魅力を多く教えていただきました。会津で生ま育った私自身も南会津の良さを再発見することができました。苦労を乗り越えて、それぞれの新しい場所での暮らしを楽しまれている様子が伝わってきて取材に行く度いつも嬉しく感じていました。自身の夢を叶えるため、一歩踏み出してその土地で積極的に活躍されている姿に、励まされた方も多いと思います。取材にご協力いただいた皆様には本当に感謝しています。ありがとうございました。(azun)
 
私は、生まれも育ちも会津なので「定住・二地域居住」と言っても最初はなかなかピンときませんでした。こんななんにもない田舎(失礼!)に移住してくる人なんて本当にいるのか?と。なので、今回の取材は、実際に南会津に定住・二地域居住された方の貴重な言葉を聞ける有意義なものとなりました。皆さんは、それぞれ何かの目的を持って移住を決め、実際に移住をしてきました。最初は戸惑い、大変な思いをしています。それでも、皆さん楽しそうにお話されていて取材のときはとても目がキラキラ輝いていたのが印象的です。私が取材をしてみて思ったことは、田舎暮らしがしてみたいと思っている方に、取材させていただいた方々のように確かな目的を持って移住して欲しいということです。南会津は、空気がキレイで水も美味しいです。有名な観光地も各町村ごとにあります。そして全国の中でも雪の多い地方でもあります。雪の多い時期に来てみたりしながら何度も足を運んで土地感を知ったり、住む家の状況を最小限把握して欲しいと思います。南会津の人は心が温かい人が多い。大自然の中で畑仕事がしたい方や、自分の夢を実現させたい方、若い時に都会で働いていて老後は、ゆっくりのんびり田舎で暮らしたい方、古民家好きな方等々…田舎暮らしへの希望、夢が叶えられますよ!!そして最後に、取材にご協力頂きました皆様、本当にありがとうございました。(みゆみゆ)

 

ここまでご覧いただきありがとうございます。ここでご紹介してきた動画は、幸か不幸か我々の編集能力が至らないために(笑)演出や脚色などは施していない、本当にありのままの"本音"が映っているインタビュー映像です。もちろんシナリオもリハーサルもありません。そんな中でもさらに本音を探ろうと「苦労していることは?」「想像してたのと違うと思うことは?」「子育ての不安は?」とマイナス面での疑問もぶつけました。しかし「雪が多くて片付けるのが大変!」と苦労話をされているにもかかわらず、なぜかその顔は楽しそうだったのが印象的です。「好きでここに居ると、大変なことも大変じゃなくなっちゃう」「ここでの暮らしは苦労を上回る喜びがあるんだよ」と説得(?)されてしまうこともしばしば。地元の人が当たり前だと思っている環境と暮らしがどんなに素晴らしいものか、と逆に諭されることも多い取材でした。
"南会津は放射線量が少ない"など数字的な裏付けもありますし、様々な周知活動も行っていますが、震災の影響について心配されている方はまだ多いと思います。そんな方もぜひこの動画を見て欲しい。"他の地域から来た彼らが、自らの意思で、嬉々としてここに住み続けている"ことより説得力のある事実は無いと私は思います。困難はまだまだ続きそうですが、このような方々が南会津を選び、今もここに居ることが頼もしく心強く、「南会津は大丈夫。」風評被害に晒されている地元の方々の自信にも繋がっていると実感しました。
みなさ~ん、南会津は元気にやってますよ~!南会津の人々の笑顔を見に、ぜひいらしてくださいね~!(高橋)